2026年8月3日月曜日

AIで、「いい曲」をつくれるんでしょうか

 最近、YouTubeを開くと「AIで作った曲」が本当にあふれていますよね。プロンプトを一行入れれば、数秒で一曲まるごと出てくる時代です。私も正直、最初に聴いたときは感心が先に来ました。でも音楽を作る側の人間として、最近ずっと引っかかっていることが一つあって。今日はその話を軽く。AIは本当に「良い曲」まで作れるのでしょうか?

💡 今日の要点3行まとめ
・AI作曲はすごいし、メジャーレーベルまで取り込み始めるほど業界地図も動いている。
・でも「間違えない」AIは無難な曲には強くても、逸脱が要る名曲にはまだ弱い。YouTubeの人気曲がカバー中心なのがその証拠。
・Spotify・Deezer・CDベイビー・JASRACが線を引くいま、「学ぶけれど依存はしない」が私の結論。

まず、すごいのは認めます

Suno(スノ)やUdio(ユディオ)のようなツールは、もはや大抵のデモ水準を軽く超えています。ストリーミングのDeezer(ディーザー)には、2026年6月時点で1日のアップロードの過半数が完全AI生成曲というほど。発展スピードだけ見れば、これは否定できない流れです。

業界地図も確実に変わります

メジャーレーベルまで動き始めました。ユニバーサルはUdioとの訴訟を和解で終え、2026年に共同のAI音楽サービスを準備中。ワーナーはSunoとライセンス提携まで結びました。昨日まで法廷で争っていた側が手を組んだわけです。制作コストとスピードを考えると、産業構造が再編されるのは時間の問題に見えます。ただ、この流れが順風満帆かというと、そうでもなくて。Suno・Udioは今も著作権侵害訴訟を抱えていて、2026年にはソニーとユニバーサルが対象曲を6万曲以上に拡大し、潜在的な賠償額が90億ドルを超えうるという観測まで出ました。「AIは一体何を学習したのか」というデータの正当性の問題が、まだ山積みなんです。

でも — AIは「間違え」ません

私の疑問はここから始まります。AIは学習データの平均、つまり「最ももっともらしい選択」をします。だから無難な曲は本当にうまく出してくる。でも、私たちが名曲と呼ぶものは、たいてい「間違って見える選択」から生まれています。予想を裏切るコード、少しずれた拍、ルールを外れたアレンジ。安全に平均を選ぶAIが、その逸脱を意図的に出せるのでしょうか? 私はまだ少し懐疑的です。たとえるなら、テストで常に正解だけを選ぶよう訓練された生徒に近い。平均点は高いけれど、誰も思いつかない答えを自分から書くことはできない。音楽で人の心を動かす瞬間って、たいていその「誰も思いつかない答え」の側にある気がするんです。



YouTubeで人気のAI曲がその証拠です

実際、いまYouTubeやTikTokで話題のAI音楽を見てください。ほとんどが「新しく書いた曲」ではなく、既存のヒット曲を別の声に差し替えたAIカバー・ボイススワップなんです。ドレイクのAIカバー、J-POPやアニメ声のボイススワップのような。人がすでに作って検証まで終えた良い曲に乗せて、はじめて反応が来る。純粋な新曲ではなくカバーが主流だという点そのものが、私はいまのAIの限界をそっと示していると思います。(ちなみに話題になったAIカバーも、その多くは著作権クレームですぐ収益化が止められたりします。)

市場もまだ線を引いています

プラットフォームや業界の対応も参考になります。整理するとこうです。

Spotifyは2025年にスパム的AI曲を7,500万曲削除し、AI使用の有無の表示を義務化しました。(全面禁止ではなく「スパム・無断」を狙い撃ち。)

Deezerは100% AI曲をレコメンドやプレイリストから外し、AIストリームの85%を不正とみなして収益化を止めています。

配信ディストリビューターも割れます。CDベイビーやTuneCoreは全編AIの曲を受け付けず、DistroKidは表示を条件に許可、という具合。

・そして日本。JASRACは、人の創作的寄与がなくAIだけで生成した曲を「著作物に当たらない」として信託(管理)の対象外にしています。登録時には「人間の創作的寄与がある」ことの保証が必要です。一方で著作権法30条の4のもと、AIの「学習」段階では著作物をかなり広く使えて、日本は「機械学習パラダイス」と呼ばれるほど。ただしこれは学習の話で、出来上がったAI曲の権利とは別問題です。JASRACの2026年の調査では、創作者の半数以上が生成AIによる自作の学習に反対していて、制度の見直しを求める動きが続いています。



で、私の考えは

AI作曲は確かに時代の流れです。背を向けても消えるものでもない。だから勉強は必ずしておくのが正解だと思います。ツールとしてうまく使えば作業は速くなるし、アイデアのスケッチにも本当に重宝します。ただ、そこに「依存」するのは別の話。AIが出してくれた無難な結果で満足してしまった瞬間、私たちを代替不可能にしてくれるのは結局、人にしか出せないあの「間違った選択」だということを忘れてしまうんです。もちろんこれはあくまで今の時点の私の考えで、数年後にはまた変わっているかもしれません。だから結論は一つ。学ぶけれど、寄りかからない。

💡 一行まとめ
AI作曲はすごい。でも「間違えない」ことが、そのまま強みとは限らない。

今日も軽く一つ、考えを置いてみました。あなたはどう思いますか? AIがいつか「名曲」まで書ける日が来るのか、コメントで意見を聞かせてもらえたら嬉しいです。面白かったら、いいね・読者登録もぜひ。

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