前回で和音を4つ積んで8小節を作ったなら、あとはその上に乗せるものが残っています。メロディですね。
ところがここがいちばん途方に暮れます。コードにはルールがあって作れたのに、メロディは「浮かぶ」ものみたいに感じられますから。才能の問題に見えたりもします。
でも違います。メロディにも方法があります。今日はその方法を4つ、順番に扱います。1つ目だけ知っていれば、今日中に外れないメロディができます。
💡 今日の3行まとめ
1. その区間のコード構成音から選べば絶対に外れない
2. 強拍にコード音、弱拍に通り過ぎる音 — これがメロディの基本文法
3. 新しく作るより、2小節を繰り返すほうがずっと良く聞こえる
📋 目次
① メロディとはなんですか
② 方法1 — コード構成音から選ぶ
③ 方法2 — 通り過ぎる音を混ぜる
④ 方法3 — 階段とジャンプを混ぜる
⑤ 方法4 — 2小節を繰り返す
⑥ 初心者がよくやる3つのミス
⑦ Q&A
⑧ 今日やること
① メロディとはなんですか 🎤
簡単に整理すると、一度にひとつずつ続いていく音の線です。和音が複数の音を同時に積んだものなら、メロディは一本の線で流れていきます。
基準はひとつで十分です。人が歌えるかどうか。 カラオケでみんなが歌うあの線がメロディです。楽器で演奏する場合でもこの基準は有効です。
🔹 和音とメロディは互いを支えます
メロディだけだと寂しく、和音だけだと退屈です。両方あって初めて音楽になります。そして大事なのは、どんな和音が敷かれているかが、その上に乗せられる音を決めるという点です。
これが今日の出発点です。メロディは白紙から思いつくものではなく、下に敷かれた和音がすでに半分ほど決めてくれています。
② 方法1 — コード構成音から選ぶ 🎯
いちばん簡単で、いちばん確実な方法です。これだけで今日メロディができます。
🔹 ルール
今敷かれているコードの構成音の中からだけ音を選んでください。
前回作った進行でやってみます。
・C区間(ド・ミ・ソ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・G区間(ソ・シ・レ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・Am区間(ラ・ド・ミ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・F区間(ファ・ラ・ド)→ この3音の中からだけ選ぶ
順番とリズムは自由です。C区間でソ-ミ-ドと下がってもいいし、ド-ド-ソと繰り返してもいい。どう選んでも外れません。
🔹 なぜ絶対に外れないのか
メロディに使う音が、下の和音にすでに入っている音だからです。同じ音を上下に重ねているだけなので、ぶつかる理由がありません。
ここで和音に含まれる音をコード音(コードトーン)と呼びます。この先出てくる用語なので覚えておくと便利です。
🔹 ひとつのコツ
コードが変わる地点でメロディも一緒に動かしてやると、ずっと自然になります。コードはCからGに移ったのにメロディがずっと同じ音を握っていると、ぎこちなくなることがあります。もちろんわざとそうする技法もありますが、最初はコードが変わるときにメロディも変える側が安全です。
📋 ここで止まらないでください
この方法だけだと外れない代わりに退屈です。和音をただ解いただけのように聞こえて、「メロディ」という感じが弱い。だから次の段階が必要になります。
③ 方法2 — 通り過ぎる音を混ぜる 🌉
ここでメロディがメロディらしくなります。
🔹 コードにない音も使えます
C区間だからといってド・ミ・ソだけ使わなければならないわけではありません。レやファを使ってもいい。ただしどこに置くかが重要です。
🔹 強拍と弱拍
1小節を4拍で数えると、1拍目と3拍目が相対的に重く感じられます。これを強拍と呼びます。2拍目と4拍目は相対的に軽く、これを弱拍と言います。
拍をさらに細かく割ると、表が強拍、その間の裏が弱拍になります。難しく考えず「重く感じる場所」と「すり抜ける場所」と理解すれば十分です。
🔹 基本文法
・強拍にはコード音 — 安定感を与える
・弱拍にはコードにない音 — すり抜けながら動きを作る
C区間でド(強)-レ(弱)-ミ(強)と上がってみてください。レはCコードにない音ですが、弱拍ですり抜けるので全然ぎこちなくありません。むしろドからミへ直接飛ぶよりずっと滑らかです。
こうしてコード音の間をつなぎながら通り過ぎる音を経過音、英語ではパッシングノート(passing note)と呼びます。
🔹 逆にするとどうなるか
強拍にコードにない音を置くと緊張感が生まれます。これはミスではなく、ひとつの表現です。切ないバラードやジャズではわざとそうします。
ただ最初は基本文法を体に入れるのが先です。ルールを知って破るのと、知らずに破るのは結果が違います。
💡 まとめると
安定した音を柱として立て、その間を別の音でつなぐ。これがメロディの骨格です。
④ 方法3 — 階段とジャンプを混ぜる 🪜
音の選び方が分かったら、次はその音たちがどうつながるかが残っています。
🔹 順次進行 — 階段を歩く
すぐ隣の音へ1マスずつ動くことです。ド-レ-ミ-ファのように。やわらかくて歌いやすい。人の声がいちばん楽に動く方式です。
🔹 跳躍 — ジャンプする
遠くへ飛ぶことです。ドからソへ一気に行くように。ドラマチックで印象的です。サビがパッと開ける感じは、たいていこの跳躍から生まれます。
🔹 混ぜる必要があります
階段だけだと退屈です。ずっと歩いているだけですから。逆にジャンプだけだと落ち着かず、歌うのも難しくなります。
比率で言うと階段が多くてジャンプは数回が自然です。ジャンプが貴重なほどインパクトが大きくなりますから。
🔹 最高音は1か所だけ
8小節の中でいちばん高い音が出る場所をひとつだけ決めておいてください。そこがその区間の頂点になります。
高い音をあちこちに撒くと、どこも頂点になりません。逆に1か所だけはっきり高ければ、聴く人の耳はその地点をクライマックスとして認識します。これは編曲を一切しなくても曲に起伏を作る方法です。
だいたい8小節のうち後半、5小節目か6小節目あたりに置くとよく馴染みます。もちろん曲によって違うので、動かしながら聴くのが正確です。
⑤ 方法4 — 2小節を繰り返す 🔄
これが今日いちばん実用的な話かもしれません。
🔹 初心者がもっともよくやるミス
8小節を作るとき、8小節すべてを違うものにしようとすることです。すると2つのことが起きます。作りながら疲れ、完成しても記憶に残りません。
🔹 記憶に残るメロディは繰り返します
好きな曲のサビを思い出してみてください。おそらく短い断片が何度か繰り返されているはずです。人は繰り返しを通してメロディを記憶します。初めて聴く旋律を8小節ずっと追いかけるのは、思っているより大変なことです。
この短い繰り返し単位をモチーフ(motif)と呼びます。曲の種のようなものです。
🔹 実際の手順
1. 2小節のメロディをひとつ作る
2. それをそのままコピーして3・4小節目に貼る
3. 5・6小節目にも貼る
4. 最後の7・8小節目だけ違うものにする
こうすると8小節が完成しますが、実際に作ったのは2小節半です。それでも聴くとずっと完成度が高く聞こえます。
🔹 もう一歩
そのままコピーする代わりに少し変えると、さらに良くなります。
・2回目の繰り返しは最後の音だけ変える
・3回目の繰り返しは全体を1音高くする
・リズムはそのままで音の高さだけ変える
リズムをそのまま維持するのが核心です。リズムが同じだと人は「同じメロディ」として認識するので、音が変わっても統一感が保たれます。
⑥ 初心者がよくやる3つのミス ⚠️
🔹 ミス1 — 休符がない
空白を残すのが不安で、音をずっと詰めてしまう場合です。でもメロディには息をする場所が必要です。歌は人が歌うもので、人は息をしなければなりませんから。
休符は空いているのではなく、次の音を準備する場所です。2小節ごとに半拍でも空けてみてください。急にメロディが整理されます。
特にモチーフの間に休符を入れると、繰り返しがずっとはっきり聞こえます。
🔹 ミス2 — 音域が広すぎる
ピアノロールではどこでもクリックできるので、とても低い音ととても高い音を全部使ってしまいます。でもそうやって作ると人が歌えません。
目安を挙げると1オクターブ半以内で収めてください。低いドからその上のソくらいまでです。その中で作れば大半の人が歌えて、楽器で演奏しても自然に聞こえます。
🔹 ミス3 — リズムが毎回同じ
音の高さばかり気にしていると、リズムが全部同じになることが多いです。4分音符だけずっと続くような。音がどれだけよく選ばれていても、リズムが単調だと退屈に聞こえます。
長く伸ばす音ひとつ、短くトントンと叩く音を2、3個混ぜてみてください。実はメロディの個性は音の高さよりリズムから多く生まれます。有名な曲のサビをリズムだけ手で叩いても当てられる場合が多いのが、その証拠です。
⑦ Q&A 💬
Q. メロディを先に作ってコードを付けてもいいですか?
A. いいです。実際にそうやって作業する人も多いです。ただ初心者にはコードを先に敷いてメロディを乗せる側がずっと簡単です。選べる音があらかじめ狭まっているので。白紙から始めるより負担が少ない。慣れてから順番を変えてみてください。
Q. 口で歌ったものを打ち込みたいのに音が見つかりません。
A. 口で歌いながらピアノロールの音をひとつずつ押して、合う音を探せばいいです。時間はかかりますが、これがいちばん良い訓練です。この過程を繰り返すと、後には頭の中の音がピアノロールのどの位置なのか感覚がつかめます。ちなみに最近は歌ったオーディオをMIDIに変換してくれる機能もありますが、精度がまだ安定しないので序盤は手で探すことをおすすめします。
Q. コードにない音を強拍に置いたら必ず間違いですか?
A. いいえ。緊張感を作る表現で、実際の曲によく出てきます。ただそれが意図された緊張なのか外れた音なのかは、結局聴いてみないと分かりません。ぎこちなく聞こえるなら半拍後ろにずらして弱拍に移してみてください。それだけで解決する場合が多いです。
Q. メロディがコードより低くてもいいですか?
A. いいです。ただメロディはいちばんよく聞こえるべき線です。和音の間に埋もれるとメロディとして認識されません。だから普通は和音より上に配置します。前回扱ったボイシングとつながる話です。和音を下に整理しておくと、メロディが上がる場所ができます。
⑧ 今日やること ✍️
前回作った8小節をそのまま開いて始めてください。
1. C区間でド・ミ・ソの中からだけ2小節のメロディを作る
2. その2小節を3〜6小節目にコピーして貼る
3. 7〜8小節目だけ違うものにする
4. コードにない音を弱拍にひとつずつ挟み込んでみる
5. 2小節ごとに半拍ずつ休符を入れる
6. 8小節のうちいちばん高い音を1か所だけ残す
4番から6番が核心です。ひとつずつ適用しながら前後を聴き比べてみてください。どの変化がどんな効果を出すのか耳で確かめるのが今日の目標です。
数値もルールも正解ではなく出発点です。最終的な判断は耳がします。
おわりに
今日の内容を一行に圧縮するとこうです。
「コード構成音を柱として立て、その間を通り過ぎる音でつなぎ、2小節を繰り返す。」
こうして10回にわたってマイクからメロディまで来ました。次回は作った曲をどう仕上げて世に出すのか、リリースと配信の話を扱います。気になることはコメントで教えてください。
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