2026年8月2日日曜日

10年以上1位のシンセ、Serum — Serum 2は何が変わり、今買う価値はあるのか

YouTubeでEDMやトラップの解説動画を見ていると、十中八九おなじ画面が出てきます。青い波形が画面の真ん中でうねっている、あのシンセ — Serum(セラム)です。2014年に出たものが10年以上たっても定番の座を守っているのは、なかなか珍しいこと。そして2025年、ついにSerum 2が登場しました。今日は、なぜこれが標準になったのか、2で何が変わったのか、そして3万円前後するこれを今買うべきなのかまで整理してみます。

💡 今日の要点3行
・Serumが標準になったのは音より「目に見えるインターフェース」のおかげ。
・Serum 2はウェーブテーブルにマルチサンプル・サンプル・グラニュラー・スペクトラルが加わり、全5エンジンの総合ツールに。
・価格は249ドル。ただし既存のSerum 1ユーザーは無料アップグレード。

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ウェーブテーブルって、そもそも何?

まずこの単語をほどいておきましょう。昔のアナログシンセは、ノコギリ波や矩形波のように波形を一つ選んで、それでずっと音を出していました。一方ウェーブテーブルシンセは、少しずつ違う波形を数百枚、本のように積んでおいて、音が鳴っている最中にそのページをめくります。

ここが肝です。ゆっくりめくれば少しずつ移ろう幻想的なパッドになり、速くめくればうねって生きているようなベースになる。最近の曲で「音がずっと変化してるな」と感じるシンセは、だいたいこの方式だと思ってください。

では、なぜSerumが1位になったのか

実はウェーブテーブルシンセ自体はSerum以前からありました。Serumが流れを変えたのは、音そのものより見せ方です。開発者のスティーヴ・デューダは「音作りが退屈な作業ではなく、楽しいものになるようにしたかった」と語っていますが、まさにその通りに作りました。

今どの波形を通っているのかを画面に大きく描いて見せ、LFOやエンベロープをツマミの上にマウスでドラッグするだけで繋がるようにした。以前のシンセがメニューを何階層も潜る必要があったことを考えると、これは革命でした。初心者でも「これをここに繋げると、こう動くのか」を目で学べるようになったわけです。




Serum 2のインターフェース・画像出典: Xfer Records 公式(xferrecords.com)・紹介目的の引用

Serum 2、何が変わった?

2025年3月18日に出たSerum 2の最大の変化は、オシレーターが一つではなくなったことです。従来のウェーブテーブルに加えて、マルチサンプル・サンプル・グラニュラー・スペクトラルが並び、オシレーターエンジンは全部で5種になりました。

サンプル/マルチサンプルは、自分のオーディオファイルや生楽器の録音を読み込んで鍵盤で演奏する方式です(Serum 2にはオーケストラ・合唱・ピアノ・ギターなどの実録ライブラリが同梱されています)。グラニュラーは音をごく細かい粒に刻んで撒き散らす方式で、平凡なサンプルも見慣れない質感に変えてしまいます。スペクトラルは周波数成分を直接いじって、時間と音程を大胆に捻じ曲げる実験的なエンジンです。

さらにアルペジエーターとクリップシーケンサーが入り、シンセの中でリズムパターンまで組めるようになりました。プリセットとウェーブテーブルのライブラリも刷新されました。ひとことで言えば、ウェーブテーブルシンセから総合サウンドデザイン環境へスケールが変わったわけです。


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価格、そしてちょっと驚きの方針

新規購入は249ドル。国内の楽器店でも3万円前後で扱われています。安くはないですね。ただ負担を減らす方法がいくつかあります。SpliceのRent to Ownなら月9.99ドルずつ払い、総額が249ドルに達した時点で自分のものになります。途中で止めて再開してもいいし、残額を一括で払ってもかまいません。学生・教職員ならアカデミック版が30%オフで買えます。

そして本当に驚くのはここ。既存のSerum 1ユーザーはSerum 2へ無料アップグレードです。11年ぶりの大型アップデートをタダで配ったわけで、有償アップグレードが当たり前のこの業界では異例のこと。Xferは「生涯無料アップデート」を掲げています。買ったあと数年後にまたお金を払うのか、と心配しなくていいのは思った以上に大きな利点です。

で、買うべき? — 無料のVitalと比べる

Vitalという無料シンセがあります。画面構成も音質もSerumによく似ていますね。正直に言うと、ウェーブテーブルシンセが初めてなら、Vitalから始めても十分です。基礎を覚えるのに3万円を先に払う理由はありません。

Serum 2が値段の働きをするのは別のところです。第一にプリセットとチュートリアルが圧倒的に多い。世の中のプリセットパックや解説の多くがSerum基準で作られているので、欲しい音を検索すれば答えが出てきます。第二に、共同作業のときプロジェクトのやり取りが楽。第三に、今回加わったグラニュラーやスペクトラルまで使い始めると、シンセ一台で片づく範囲がぐっと広がります。つまり「音の限界」より「時間とエコシステム」を買う道具なんです。

ちなみに公式サイトで15分制限のデモ版が入手できるので、ポチる前にまず手に馴染むか触ってみることをおすすめします。

💡 一行まとめ
Serumは良い音ではなく「見える音」を売って標準になり、2でその土俵をさらに広げた。

あなたはSerum派ですか、Vital派ですか?コメントで教えてください。

#Serum2 #シンセサイザー #ウェーブテーブル #DTM #宅録 #音楽制作 #作曲 #EDM #プラグイン #ソフトシンセ

2026年8月1日土曜日

ノブを「間違って」回したらジャンルが生まれた — ベース代役の失敗作、ローランド TB-303

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TR-808によく似た、もしかするともっと痛快な逆転劇の主人公です。しかも作った人も同じ — ローランドのエンジニア菊本忠男(きくもと ただお)。808が「偽物のドラムの音」と言われている間、この小さな銀の箱は「偽物のベースの音」と言われていました。そして数年後、シカゴの若者たちが説明書もなしにこのマシンのノブを回しまくって…世界に存在しなかったジャンルを一つ、発明してしまいます。

💡 今日の要点3行
・TB-303は1981年「ベースギターの代わりに伴奏してくれる機械」として生まれ、3年ほどで製造終了。
・投げ売りされた中古をシカゴのプロデューサーたちが「間違った」使い方をしてアシッドハウスが誕生。
・あの「ビヨビヨ」いう音の正体は、レゾナンス(共振)フィルターをリアルタイムでひねること。


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ギタリストの練習相手として生まれた

1981年、ローランドはドラムマシンTR-606とセットでTB-303を発売します。コンセプトは単純でした。一人で練習するギタリストのために、ベースラインを自動で演奏してくれる機械。「TB」はトランジスタ・ベース(Transistor Bass)の略です。

問題は二つありました。音がどうにも本物のベースに聞こえない。そしてプログラミング方式が悪名高いほど複雑。ギタリストたちには敬遠され、ローランドは約1万台だけ作って1984年に製造終了します。ここまでは808と瓜二つの失敗ストーリーですね。

シカゴ、説明書を捨てる

製造終了したマシンは中古市場に安値で流れ、アメリカ・シカゴの若いプロデューサーたちの手に渡ります。その中のPhuture(フューチャー)というトリオ — DJピエール、スパンキー、ハーブJ — は、説明書もなしにこのマシンをいじり始めました。ベースラインをおとなしく打ち込む代わりに、再生中にカットオフとレゾナンスのノブをぐりぐりひねったんです。

ここであの有名な音が生まれます。レゾナンス(共振)はフィルターが削るポイントの周辺を強調するパラメーターですが、これを上げ切ってカットオフを動かすと、フィルターが悲鳴を上げるように「ビヨビヨ」とうねる音(スクウェルチ)が出るんです。本物のベースからは百万光年離れた、しかし世界のどこにもなかった音でした。


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3曲で聴く303の歴史

🔹 ① Phuture — Acid Tracks (1987)

あの実験の成果物です。ただ、いきなりレコードで出たわけではありません。まずシカゴのクラブでDJロン・ハーディがカセットのまま回し、フロアで評判になってから、マーシャル・ジェファーソンのプロデュースで1987年にTrax Recordsから正式リリースされました。12分のこのトラック一つがアシッドハウスというジャンルの出生届になりました。一台のマシンの誤用がジャンルになった、音楽史で最も有名な事故です。
▶ 動画: https://www.youtube.com/watch?v=igNBeo3QSqc

🔹 ② ダフト・パンク — Da Funk (1995)

フランスへ渡った303。うねるあの音がハウスの顔になり、世界チャートを駆け上がります。
▶ 動画: https://www.youtube.com/watch?v=mmi60Bd4jSs

🔹 ③ ジョシュ・ウィンク — Higher State of Consciousness (1995)

303を2台使って作られた90年代レイヴの象徴。曲全体が事実上、一つの巨大な303ソロです。
▶ 動画: https://www.youtube.com/watch?v=d3hAnAnJwyU

失敗作三兄弟 — 808、909、そして303

面白いのは、今日のエレクトロニックミュージックの骨格になった三台 — ドラムのTR-808とTR-909、ベースのTB-303 — がすべて同じ時期のローランド製で、すべて商業的に失敗したという事実です。三台とも「本物の楽器らしくない」という同じ理由で敬遠され、三台とも安値になってからシカゴとデトロイトの若い手の中で、ハウスとテクノの心臓になりました。

今もうねり続ける303

本物の303は今や数十万円のコレクターズアイテムですが、その音はむしろ身近になりました。ローランド自身もこの「誤用の歴史」を公式に認め、ローランド・ブティック(Roland Boutique)シリーズでTB-303を復刻したTB-03を出しています。ベリンガーのクローンTD-3や数多くのソフトシンセも、あの「ビヨビヨ」を再現していますね。

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ローランド・ブティック TB-03・画像出典: Roland 公式(roland.com)・紹介目的の引用

実際に使ってみると面白いことがあります。これ、今でもプログラミングがかなり面倒で複雑なんです。オリジナルの悪名高い入力方式を忠実に受け継いでいますから。それでもあえてこれを使う理由があります。内蔵シーケンサーが生み出すグライド感とアクセント感 — 音と音が滑るようにつながり、特定の音だけがポンと飛び出すあのうねりは、DAWのピアノロールや他のシンセでは絶対にそのまま再現できません。結局、あの不便なシーケンサーこそが303サウンドの半分なんです。

ちなみにブティックシリーズは乾電池でも動き、USB接続にも対応していて、ソファでいじってからパソコンにシーケンスを移して編集する、という使い方もできます。昔のマシンの感性と今のマシンの利便性が半々に混ざっているので、余裕ができたら一度触ってみてください。

そしてこのブティックシリーズには、TR-808の復刻版TR-08もあります。手のひらサイズにオリジナルのカラーとインターフェースをそのまま収め、こちらも乾電池・USBで動きます。303と並べて置けば、あの時代の「失敗作コンビ」が机の上で復活するわけです。

ローランド・ブティック TR-08 (TR-808復刻)・画像出典: Roland 公式(roland.com)・紹介目的の引用

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ちなみにローランド・ブティックシリーズは、こうした過去の名機を手頃な価格で手に入れられて、一台一台すべてが名機の復刻というシリーズなので、一度チェックしてみる価値はあると思いますよ。

曲を作る人へのヒント

808と303が教えてくれることは同じです。機材の「正しい使い方」はマニュアルではなく、結果が決める。シンセのフィルターレゾナンスを「ほどほど」ではなく上げ切ってみてください。コンプレッサーを壊れるほど掛けてみて、リバーブを間違った場所に掛けてみてください。大抵はゴミが出ますが、たまに世界のどこにもない音が出ます。シカゴの三人の若者が証明したように。

💡 一行まとめ
ベースの真似に失敗したマシンが、誰にも真似できない音になった。

あなたの知っている最高の303トラックは何ですか?コメントで教えてください。次の「失敗作の殿堂」候補も募集中です。

#TB303 #アシッドハウス #シンセサイザー #RolandBoutique #DTM #宅録 #テクノ #ハウス #電子音楽 #音楽の歴史


K-POPとJ-POP、決定的な違いは「言語」にあると思う

今はインターネットが両国をリアルタイムでつないでいます。K-POPのプロデューサーがJ-POPを聴き、日本の作曲家がK-POPチャートを分析する。互いに影響し合って久しく、サウンドだけ見れば境界はかなり曖昧になりました。それでも両方を聴くと、やはり「違う音楽だ」という感覚がはっきり残ります。今日はその理由についての、私の個人的な仮説を一つ。私はその決定的な差が言語から来ていると考えています。

💡 今日の要点3行
・韓国語と日本語は語順が似ているのに、同じ意味を言うときの長さが全く違う。
・日本語は長くなる分メロディも伸びて、J-POPは長い呼吸・起承転結に向かう。
・韓国語は短く直接的なので、短いフックと打撃感のダンスポップと相性がいい。

同じ意味なのに、長さが違う

韓国語と日本語は語順がそっくりだとよく言われます。文法構造だけ見れば確かに驚くほど似ている。でも歌を作るとき、決定的に分かれるポイントがあります。言葉の長さです。「愛してる」は日本語で5拍。同じ意味の韓国語「サランヘ」は3音節で終わります。「決して忘れない」クラスになると、差はさらに開きます。

ここで一つ注意。カタカナで「サランヘ」と書くと4拍に見えますが、韓国語のパッチム(終声子音)は音節の中で同時に発音されるので、「ラン」で1音節です。日本語の「ン」や「ッ」のように独立した1拍には数えません。つまり韓国語は、日本語なら2拍かかる音を1拍に圧縮できる言語なんです。

これは偶然ではなく、言語学の研究とも符合します。日本語は1音節に載る情報量が少ない言語で、それを補うため話す速度は毎秒約8音節と世界最速クラス。意味を伝えるには音節をたくさん注ぎ込む必要がある言語だということです。


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だから歌の「呼吸」が変わる

歌詞が長くなれば音節の区切りが増え、それを運ぶメロディも伸びます。私はこの差が二つのジャンルの体質を分けたと見ています。韓国語は1拍1拍に意味が刺さるから、K-POPは呼吸の短いダンスポップが多くなるしかない。日本語は意味を全部載せると文が長くなるから、J-POPは呼吸が長く起承転結のある曲が多くなるしかない、ということです。

J-POP側の例なら、米津玄師さんの「Lemon」やYOASOBIの「夜に駆ける」。一つの文が数小節にまたがって流れ、物語が積み上がっていく。曲全体が一つの叙事です。

▶ 米津玄師 — Lemon



▶ YOASOBI — 夜に駆ける



言葉の文化も違う

長さだけでなく言い方も分かれます。韓国語は比較的ストレートな語彙が多く、歌詞も「今夜、君を落としてみせる」という感じでグッと踏み込んでくる。一方日本語の歌詞は「今日みたいに満月が美しい夜は、その月の下で君とどこまでも走りたい」— こんなふうに、ぐるっと回ってやって来ます。同じ気持ちを告白するのに必要な時間が3〜4倍違うわけです。そしてその長い文が、また長いメロディを呼びます。

韓国のリスナーは「口に付く感触」を聴いている

もう一つ。韓国のリスナーは歌詞の意味と同じくらい、発音が口に絡む感触、くっつく感じを重視する傾向があると私は思っています。だからK-POPには、意味がなくても語感のいい擬音・擬態語のフックがやたら多い。「ットゥドゥットゥドゥ」が何の意味か、誰も聞きません。口に付けばそれで十分だからです。

▶ BLACKPINK — DDU-DU DDU-DU: https://www.youtube.com/watch?v=IHNzOHi8sJs
▶ SHINee — Ring Ding Dong: https://www.youtube.com/watch?v=roughtzsCDI

曲を作る人へのヒント

この仮説を裏返せば、作曲のヒントになります。短く刺さるフックが欲しければ、K-POPのように語感の強い言葉や擬音を強拍に乗せてみる。物語が流れる曲を書きたければ、文を切らず、一つの文を2〜3小節にまたがせて流す。歌詞を「メロディの上に後から載せるもの」ではなくリズム設計の材料として先に考えた瞬間、同じコード進行でも全く違う歌が生まれます。

結局、歌詞がどう乗るか

少なくともポピュラー音楽において、歌詞はただの「中身」ではなくリズムでありメロディの一部です。同じ語順を持つ二つの言語が長さと言い回しで分かれた瞬間、その上に乗る音楽も別の道を歩む — これが私の考えるK-POPとJ-POPの決定的な差です。もちろんあくまで個人的な仮説で、両ジャンルが互いを吸収し合う今の時代、反例はいくらでもあります。だからこそ面白いテーマでもあるんですが。

💡 一行まとめ
K-POPは言葉が短いから刺さり、J-POPは言葉が長いから流れる。

あなたはどう思いますか?「これは反例では?」という曲があればコメントで教えてください。

#KPOP #JPOP #作詞 #歌詞 #音楽制作 #作曲 #DTM #ポピュラー音楽 #音楽コラム #韓国語

2026年7月31日金曜日

一円も使わず作曲! — 2026 無料プラグイン総まとめ(プロもリリース曲に使っています)

 「結局、良い音は高いプラグインから生まれる」— 初心者が一番よくする誤解です。でも今は、無料プラグインだけで正式リリース曲を作るプロも本当に多い。本当の問題は別にあって、無料が多すぎて何を入れればいいか分からない、という点です。そこで、いま海外のプロデューサーが最もよく勧めているものだけをカテゴリ別に整理しました。

💡 今日の要点3行
・カテゴリごとに、有料に負けない無料が確かに存在します。
・3つだけ選ぶなら Vital・Valhalla Supermassive・TDR Nova。
・ただし必ず公式サイトからだけ入手を。クラックや再配布版はマルウェアの危険が大きいです。

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シンセ — Vital, Surge XT

まずはVitalから入れればOK。無料ウェーブテーブルシンセの事実上の正解です。有料の代名詞Serumと画面構成も音質もよく似ていて、トラップ・EDM・ポップで使うベースやリードならこれ一つでほぼ作れます。もっと実験的な音が欲しいならオープンソースのSurge XTを合わせると良いです。(公式: vital.audio / surge-synthesizer.github.io)

Vital

画像出典: Vital 公式(vital.audio)・紹介目的の引用

EQ — TDR Nova

TDR Novaは、特定の帯域が耳障りに飛び出したときにその部分だけ抑える「ダイナミックEQ」機能まで無料で備えています。有料標準のFabFilter Pro-Qに最も近い無料代替とされ、大抵のミキシングはこれで十分です。(公式: Tokyo Dawn Records, tokyodawn.net)

TDR Nova

画像出典: Tokyo Dawn Records 公式(tokyodawn.net)

リバーブ・ディレイ — Valhalla Supermassive, TAL-Reverb-4

Valhalla Supermassiveは、控えめなディレイから果てしなく広がるアンビエント空間まで作れる、無料リバーブ・ディレイの伝説的な存在。実際のリリース曲でもよく使われます。ボーカルやシンセに軽く乗せる綺麗なプレートリバーブとしてTAL-Reverb-4を一つ加えれば空間系は完成。扱いも簡単です。(公式: valhalladsp.com / tal-software.com)

Valhalla Supermassive

画像出典: ValhallaDSP 公式(valhalladsp.com)

コンプレッサー — OTT, Analog Obsession

OTTはいわゆる「FLサウンド」の象徴であるマルチバンドコンプレッサー。シンセやドラムに掛けると音がぐっと明瞭になります。ただし強く掛けるほど副作用も大きいので、量の調整が肝心です。Analog Obsessionシリーズは1176などヴィンテージハードの色を無料で真似て、平坦な音に気持ちいいアナログ感を足してくれます。(公式: Xfer Records / analogobsession)

Xfer Records OTT

画像出典: Xfer Records OTT (Bedroom Producers Blog)・紹介目的の引用

サチュレーション — Chow Tape Model

サチュレーションは音に倍音(ハーモニクス)を加えて、より温かく太くするエフェクターです。Chow Tape Modelはアナログテープ特有の質感をかなり精密に再現し、綺麗すぎて冷たく聞こえるデジタルの音を一段と自然になじませてくれます。(公式: ChowDSP, chowdsp.com)

Chow Tape Model

画像出典: ChowDSP 公式(GitHub, chowdsp.com)

楽器・メーター — Spitfire LABS, Voxengo SPAN

Spitfire LABSはピアノ・弦・合唱など実際に録音した楽器を無料で出し続けています。有料ライブラリと同じエンジンなので音質もかなり良い。最後にVoxengo SPANは自分の音の周波数分布を目で見せてくれる無料アナライザーで、「低音が多すぎ?」と耳だけで迷う判断を助けてくれます。(公式: labs.spitfireaudio.com / voxengo.com)

Spitfire Audio LABS

画像出典: Spitfire Audio LABS (Bedroom Producers Blog)・紹介目的の引用

Voxengo SPAN

画像出典: Voxengo SPAN 公式(voxengo.com)

では有料はなぜ買う?

無料だからといって音そのものが劣るわけではありません。ただ有料はすぐ使える完成度の高いプリセットがたくさん入っていて、アップデートやサポートが続き、複数の機能が一画面に滑らかにまとまっていて作業が速い。つまり結果の限界というより「時間と手軽さ」を買う感覚です。だからまずは上の無料で十分に力をつけて、同じところで繰り返し物足りなさを感じたとき、そのカテゴリの有料を一つずつ導入すればいいでしょう。

※ 入手する前に必ず
・必ずメーカー公式サイトからだけダウンロードを。検索上位の「無料ダウンロード」再配布サイトはマルウェア混入が多いです。
・自分のDAWの規格(VST3・AUなど)とOS(Windows・Mac)に合うか確認して入手を。

💡 一行まとめ
良い曲が作れないのはプラグインが足りないからではありません。上の無料をきちんと使うだけで十分です。

あなたが愛用している無料プラグインは何ですか?コメントで教えてください。

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3年で製造終了した「失敗作」が、なぜヒップホップの心臓になったのか — ローランド TR-808

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トラップ、J-POP、ハウス、どのジャンルを流しても床を長く揺らすあの低音。プロデューサーが「808を敷いた」と言うとき、その808が今日の主役です。ところがこの伝説的なマシン、実は発売からわずか3年で製造終了した商業的失敗作でした。誰も欲しがらなかった機械が、どうやって現代音楽の骨格になったのか。その逆転劇をたどります。

💡 今日の要点3行
1. TR-808は1980年発売、本物のドラムではなくアナログ合成で音を作るドラムマシン
2. 「音が偽物っぽい」と3年で製造終了。だが中古で安く出回り、ヒップホップやハウスが発見
3. 今では史上最も多くのヒット曲に使われたドラムマシンになった


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失敗作として生まれた

1980年、ローランド創業社長の梯郁太郎(かけはし いくたろう)は、技術部長の菊本忠男(きくもと ただお)に新しいリズムマシンを託します。きっかけは「1000ドル以内でリアルなドラムマシンを作れれば必ず売れる」という号令でした。正式名称は「TR-808 リズムコンポーザー」。ユーザー自身がリズムを打ち込み、チューニング・ディケイ(音が消えるまでの時間)・音量まで調整できる、当時としては先進的な発想でした。

問題は音でした。競合製品が本物のドラム録音を再生してリアルな音を出すなか、808の音は「ティーン」と鳴る人工的な音色だったのです。多くの人がこれをおもちゃのようだと感じました。

「偽物の音」の秘密 — サンプルではなく合成

808が特別なのは音の作り方です。同時期に高価だったリン(Linn) LM-1は、本物のドラム録音、つまりサンプルをチップに保存して再生していました。本物に近いものの、メモリが高価で価格も高くなりました。

一方808は、オシレーター・フィルター・エンベロープという回路で各打楽器の音をその場で合成しました。ここで有名な話が一つあります。ノイズを作る部分に、品質検査で弾かれて廃棄されていた規格外のトランジスタを安く仕入れて使ったのです。そのばらつきが、他では出せない独特の質感になりました。壊れた部品を使ったというより、規格から外れて捨てられていた等級を選別して使ったということです。この方式のおかげで低音(バスドラム)を自在にチューニングして長く伸ばせるようになり、その結果、床を深く揺らす「ブーン」という低音が誕生しました。今わたしたちが「808ベース」と呼ぶ、まさにあの音です。

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製造終了、そして予想外の逆転

808に使われていた規格外のトランジスタが、生産技術の進歩で出てこなくなると、ローランドは約12,000台だけ製造して1983年に製造終了します。ところが、ここから逆転が始まります。売れずに中古市場へ安値で流れた808を、お金のない若いヒップホップ・ハウス・テクノのミュージシャンたちが買い始めたのです。値段が安く、誰でも一人でリズムを組めるという点が、むしろ武器になりました。

3曲で聴く808の歴史

🔹 ① マーヴィン・ゲイ — Sexual Healing (1982)

808を前面に押し出して世界的ヒットを記録した最初の曲。「この機械は不良品ではない」とプロデューサーたちに証明した、808にとって最高の広告でした。



🔹 ② アフリカ・バンバータ & ソウルソニック・フォース — Planet Rock (1982)

プロデューサーのアーサー・ベイカーが808で作った最初のエレクトロ・トラック。ヒップホップ最初の黄金期を切り開いた、最も影響力のあるレコードの一枚に数えられます。



🔹 ③ カニエ・ウェスト — Heartless (2008)

アルバム名そのものが「808s & Heartbreak」。808サウンドを情感豊かに再解釈し、以降のトラップと現代ポップの方向を変えました。




今も生きている808

本物の808実機は今や数十万円を超える収集品になりましたが、その音は消えませんでした。ローランドが再現したハードウェア(TR-8Sなど)や数多くのソフト音源、そしてDAW標準の音源のなかで、808は毎日鳴り続けています。

とりわけ2010年代のアメリカ・アトランタで生まれたトラップが、808を再び流行の中心へ押し上げました。バスドラムの音程を曲のコードに合わせて滑らせるように変える「808スライド」が代表的で、これは808の低音を長く伸ばしチューニングできるという、まさにあの特性のおかげで可能になった技法です。トラップの長く滑る低音、J-POPやボカロ・同人音楽のタイトなキック — その源流をたどれば、1980年のこの「失敗作」にたどり着きます。

💡 一行まとめ
最も失敗した音が、最も愛される音になった — それがTR-808です。

あなたの一番好きな808トラックは何ですか?コメントで教えてください。

#TR808 #ローランド808 #ドラムマシン #808ベース #DTM #ビートメイキング #音楽制作 #ヒップホップ #トラップ #音楽の歴史

2026年7月30日木曜日

曲はできたけど、どうやってリリースするの?音楽配信のすべて(国内・海外ディストリビューター比較)

マイク選びからメロディの作り方まで来て、ここで曲がひとつ完成したとしましょう。すると最後の質問が残ります。

「これ、どうやってSpotifyやLINE MUSICに載せるの?」

ここで大半の人が止まります。検索するとDistroKidがいいという記事がたくさん出てくるのに、実際に登録してみるとLINE MUSICにもレコチョクにも入りません。そしてなぜ入らないのか、誰も説明してくれません。

今日はその構造を整理します。これだけ分かっていれば無駄な出費をしなくて済みます。

💡 今日の3行まとめ
1. ディストリビューターを通さないと配信そのものができない
2. 海外サービスは国内ストアに届かない — DistroKidではLINE MUSICに入らない
3. 配信収益と著作権使用料は別の財布。JASRACへの登録は自分でやる必要がある

① なぜ自分で上げられないのか 🚪

YouTubeはアカウントさえ作ればすぐ上げられます。ところがSpotifyやLINE MUSICはそれができません。なぜでしょうか。

🔹 プラットフォームは個人に窓口を開けていません

音楽配信サービスは、個人のクリエイターに直接アップロードする窓口を用意していません。代わりにディストリビューター(配信代行)を通してのみ楽曲を受け取ります。

理由は大きく2つ。ひとつは著作権の問題で、その曲が本当にあなたのものか検証する窓口が必要だから。もうひとつは管理の問題で、世界中の個人クリエイターをプラットフォームが一人ずつ相手にするのは現実的に不可能だからです。

🔹 ディストリビューターがやること

ディストリビューターはクリエイターとプラットフォームの間に立つ仲介者です。こんな仕事をします。

・音源とデータを各ストアの規格に合わせて変換・納品
・楽曲の固有番号(ISRC)とアルバムの固有番号(UPC)を発行
・各ストアで発生した収益をまとめてクリエイターに支払い
・権利侵害やエラーが起きたときの対応

つまりディストリビューターと契約しないとリリース自体が不可能です。これが出発点になります。

UPC — アルバム単位に付くコードです。シングルもアルバム1枚として扱われるので、シングルにも付きます。

どちらもディストリビューターが自動で発行してくれます。自分で申請する必要はありません。

② リリースまでの全体の流れ 🗺️

順番を先に押さえておくと、あとが楽になります。

🔹 この順番です

1. 曲の完成(マスタリングまで終わったWAVファイル)
2. ジャケット画像の準備(正方形 3000×3000px 推奨)
3. ディストリビューターの選定と登録
4. 音源と情報のアップロード
5. 審査・確認の待機
6. リリース日に各ストアで公開
7. 著作権の登録(配信とは別。後述します)

🔹 準備するもの

・音源: WAV 44.1kHz 16bit以上。MP3は基本的に受け付けられません
・ジャケット: 正方形、3000×3000px、JPGまたはPNG
・楽曲情報: 曲名、アーティスト名、作詞・作曲・編曲者、ジャンル、歌詞
・リリース日: 最低でも数週間先に。後で詳しく

ジャケットにロゴやURL、SNSのIDを入れると差し戻されることが多いです。純粋に画像とタイトル程度に留めてください。

③ 海外ディストリビューター — DistroKidの落とし穴 🌍

海外の情報を見ているといちばんよく出てくる名前です。

🔹 DistroKid

年24.99ドルから。この金額で何曲アップロードしても無制限です。収益は100%クリエイターに入ります。手数料を取らず月額・年額だけで運営する方式ですね。

数字だけ見ると圧倒的に安く見えます。実際、海外リスナー中心に活動するなら悪くない選択です。

🔹 ただし決定的な落とし穴があります

国内ストアに配信されません。 LINE MUSIC、レコチョク、mora、dヒッツといった日本のストアに入らないんです。Spotify・Apple Music・YouTube Musicといったグローバルなプラットフォームが中心になります。

DittoなどほかのUS系サービスも同じ傾向です。海外向けに特化していて、国内ストアは弱い。

日本国内でリスナーを増やしたいなら、この時点でDistroKidは候補から外れます。ここを知らずに登録して、あとで気づくパターンが本当に多いです。

④ 国内ディストリビューター — TuneCore JapanとBIG UP! 🇯🇵

ここからが日本で活動する人の本命です。そして日本は選択肢が恵まれているほうです。

🔹 TuneCore Japan

国内では実績・機能・サポートのどれを取っても現状いちばん強いサービスです。LINE MUSIC、レコチョク、mora、AWAといった国内ストアはもちろん、Spotify・Apple Musicなど海外にも同時に配信されます。国内と海外を1本でまかなえるのが最大の強みです。

料金は無制限プランが年4,400円から。以前はリリースごとに課金される仕組みだったので、この改定でコストパフォーマンスがかなり良くなりました。無料プランはありません。

🔹 BIG UP!

エイベックスが運営しているサービスで、無料プランがあります。 お金をかけずにまず1曲出してみたい人にとっては、これ以上ない入り口です。

国内ストアにも配信され、国内のプレイリスト施策にも乗りやすいと言われています。有料プランもあり、機能や収益還元率が変わります。

🔹 審査制のサービスもあります

FRIENDSHIP.のように、送った音源を聴いて受けるかどうかを決めるキュレーション型のサービスも存在します。通ればプロモーション面の後押しが付いてくるのが利点ですが、断られる可能性があります。実力に自信がついてから検討する選択肢として覚えておくといいでしょう。

⑤ どれを選べばいいのか ✂️

読むのが面倒な方のためにまとめました。

🔹 「まず1曲、お金をかけずに出してみたい」

→ BIG UP!。無料プランで国内ストアまで届きます。最初の1曲の入り口として最適です。

🔹 「継続的にリリースしていく。国内も海外も取りたい」

→ TuneCore Japan。無制限プランなら出せば出すほど1曲あたりが安くなります。長く続けるなら結局ここに落ち着く人が多いです。

🔹 「海外リスナー狙い。国内ストアは要らない」

→ DistroKid。安くて無制限です。ただし本当に国内を捨てていいのか、一度考えてから決めてください。

🔹 「プロモーションの後押しがほしい」

→ FRIENDSHIP.のような審査制サービス。通ればという条件付きですが、載ったときの効果は違います。

なりません。同じ曲を2社が同じストアに納品すると重複として弾かれ、両方に問題が起きます。1曲につき1社が原則です。

⑥ リリース日を逆算する 📅

リリース日をいつにするかは、思っている以上に重要です。

🔹 アップロードした翌日には出ません

審査と各ストアへの反映に時間がかかります。目安はこうです。

・音源・ジャケットの完成: リリースの2か月前には終わらせておく
・Spotifyのプレイリスト申請: リリースの最低4週間前
・ディストリビューターへのアップロード: 最低2週間前

2つ目が特に重要です。Spotifyはリリース前の楽曲を事前に提出して初めてエディトリアルプレイリストの検討対象になります。リリース後に申請しても、その曲はもう機会を逃しています。

🔹 詰め込まないでください

日程をぎりぎりに組むと、誤字ひとつ直す時間もありません。曲名やアーティスト名が間違ったまま出てしまうと修正にまた時間がかかりますし、一度広まった情報は戻せません。

余裕を持って組んでください。1日2日遅れて出たところで誰も気づきません。

⑦ 著作権は別です — JASRACとNexTone ⚖️

ここがいちばん分かりにくく、そして見落とすとお金を取り損ねる部分です。

🔹 配信収益と著作権使用料は別の財布です

曲が1回再生されると、お金はいくつかに分かれます。大きく2つだけ覚えてください。

原盤収益 — 録音物そのものから生まれるお金。ディストリビューターを通して入ってきます。契約さえすれば自動で受け取れます。

著作権使用料 — 曲を書いた人に行くお金。これはディストリビューターが面倒を見てくれません。 別途、著作権管理事業者に登録する必要があります。

🔹 JASRACとNexTone、何が違うのか

日本には管理事業者が2つあります。契約の形からして違います。

JASRAC — 信託契約

契約期間中、著作権が自分から協会に移ります。だから無断利用があったとき、協会が著作権者として訴訟を起こせます。演奏権を含むすべての権利を管理していて、海外127の管理団体と提携があるので、国外で使われたときも回収できます。

ただし信託契約の申込金が必要です。著作者で27,000円(税込)ほど。インディーズには軽くない金額です。

NexTone — 委任契約(取次ぎ)

著作権は移転しません。登録費用は無料です。ただし演奏権の管理は限定的で、海外の管理団体との提携もJASRACほど広くありません。

そして個人では契約できません。 原則として法人、つまり音楽出版社が対象です。個人の作詞・作曲者が直接NexToneと契約することはできません。

🔹 つまり個人の場合は

選択肢は実質2つです。JASRACに信託するか、音楽出版社を通してNexToneと契約するか。自主制作で誰にも所属していないなら、事実上JASRAC一択になります。

🔹 登録しないとどうなりますか

著作権使用料が消えるわけではありませんが、あなたには来ません。分配されずに残ったぶんは、登録している他の権利者に再分配されます。100万回再生されても、登録していなければその取り分は受け取れません。

🔹 最初から登録すべきでしょうか

正直なところ、27,000円は最初の1曲を出す人にとって重い金額です。まず配信を始めて、再生数が実際に積み上がってきた段階で検討するのも現実的な判断だと思います。

ただし、放送やカラオケ、店舗BGMで使われる可能性が出てきたら話が変わります。そこは登録していないと本当に取り損ねる領域なので、そのときは迷わず動いてください。

⑧ Q&A 💬

Q. ディストリビューターに預けると著作権を取られますか?

A. いいえ。配信の代行をするだけで、著作権はあなたのものです。ただし契約書に独占期間や解約条件が書かれているので、そこは必ず読んでください。特に解約後どのくらいで楽曲が取り下げられるかを確認しておくといいです。

Q. カバー曲もリリースできますか?

A. 原曲の権利者の許諾が必要です。日本の場合、JASRAC管理曲であれば配信のライセンス手続きが比較的整っていて、ディストリビューター側で対応してくれることもあります。ただし手続きは発生するので、初リリースをカバー曲にするのはおすすめしません。

Q. AIで作った曲も配信できますか?

A. サービスごとに方針が違い、しかも変わり続けています。完全なAI生成物を拒否するところが増えていますし、著作権登録はさらに厳しくなります。ツールとして一部使ったものと、全部生成したものは扱いが違うので、契約前に各サービスの規約を確認してください。

Q. アーティスト名は後から変えられますか?

A. できますが面倒です。すでにリリースした曲のアーティスト名を変えると、Spotifyのアーティストページが分かれたり統計が割れたりします。初リリース前に確定させてください。検索したときに同名のアーティストがいないかも先に確認しておくといいです。

Q. 収益はいつ入りますか?

A. だいたいリリースから2〜3か月後以降です。ストアがディストリビューターに支払い、そこからクリエイターに支払われる段階を踏むためです。最初の月に何も入らなくても驚かないでください。

⑨ 初リリース チェックリスト ✍️

リリース前にこれだけ確認してください。

1. マスタリングまで終わったWAVファイルが用意できている
2. ジャケットが3000×3000の正方形で、ロゴやURLが入っていない
3. 曲名・アーティスト名のつづりを3回確認した
4. 作詞・作曲・編曲者を正確に記載した(共作なら取り分も合意した)
5. ディストリビューターを決め、国内ストアに入るか確認した
6. リリース日を最低4週間先に設定した
7. 著作権登録をどうするか方針を決めた

3番と4番を軽く見ないでください。リリース後に直すのは本当に手間です。

おわりに

今日の内容を一行に圧縮するとこうです。

「ディストリビューターなしにリリースはできない。DistroKidではLINE MUSICに入らない。そして著作権登録は配信とは別物。」

ここまでがマイクからリリースまでの基礎ひと回りです。気になることはコメントで教えてください。

📌 参考リンク

料金・方針は2026年7月時点のものです。変更されることがあるので、契約前に公式サイトで確認してください。

・配信代行サービス比較: https://mag.digle.tokyo/artist/music-distribution-comparison
・BIG UP! の無料プランについて: https://mag.digle.tokyo/artist/bigup-about
・JASRACとNexToneの違い: https://internet.watch.impress.co.jp/docs/column/music_copyright/1108544.html

#音楽配信 #リリース #TuneCoreJapan #BIGUP #JASRAC #NexTone #インディーズ #DTM #宅録 #音楽制作

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メロディが浮かばないとき - 和音の上にメロディを乗せる4つの方法

和音を4つ積んで8小節ができたなら、あとはその上に乗せるものが残っています。メロディですね。

ところがここがいちばん途方に暮れます。コードにはルールがあって作れたのに、メロディは「浮かぶ」ものみたいに感じられますから。才能の問題に見えたりもします。

でも違います。メロディにも方法があります。今日はその方法を4つ、順番に扱います。1つ目だけ知っていれば、今日中に外れないメロディができます。

💡 今日の3行まとめ
1. その区間のコード構成音から選べば絶対に外れない
2. 強拍にコード音、弱拍に通り過ぎる音 — これがメロディの基本文法
3. 新しく作るより、2小節を繰り返すほうがずっと良く聞こえる

① メロディとはなんですか 🎤

簡単に整理すると、一度にひとつずつ続いていく音の線です。和音が複数の音を同時に積んだものなら、メロディは一本の線で流れていきます。

基準はひとつで十分です。人が歌えるかどうか。 カラオケでみんなが歌うあの線がメロディです。楽器で演奏する場合でもこの基準は有効です。

🔹 和音とメロディは互いを支えます

メロディだけだと寂しく、和音だけだと退屈です。両方あって初めて音楽になります。そして大事なのは、どんな和音が敷かれているかが、その上に乗せられる音を決めるという点です。

これが今日の出発点です。メロディは白紙から思いつくものではなく、下に敷かれた和音がすでに半分ほど決めてくれています。

② 方法1 — コード構成音から選ぶ 🎯

いちばん簡単で、いちばん確実な方法です。これだけで今日メロディができます。

🔹 ルール

今敷かれているコードの構成音の中からだけ音を選んでください。

さきほどのC-G-Am-Fの進行でやってみます。

・C区間(ド・ミ・ソ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・G区間(ソ・シ・レ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・Am区間(ラ・ド・ミ)→ この3音の中からだけ選ぶ
・F区間(ファ・ラ・ド)→ この3音の中からだけ選ぶ

順番とリズムは自由です。C区間でソ-ミ-ドと下がってもいいし、ド-ド-ソと繰り返してもいい。どう選んでも外れません。

🔹 なぜ絶対に外れないのか

メロディに使う音が、下の和音にすでに入っている音だからです。同じ音を上下に重ねているだけなので、ぶつかる理由がありません。

ここで和音に含まれる音をコード音(コードトーン)と呼びます。この先出てくる用語なので覚えておくと便利です。

🔹 ひとつのコツ

コードが変わる地点でメロディも一緒に動かしてやると、ずっと自然になります。コードはCからGに移ったのにメロディがずっと同じ音を握っていると、ぎこちなくなることがあります。もちろんわざとそうする技法もありますが、最初はコードが変わるときにメロディも変える側が安全です。

③ 方法2 — 通り過ぎる音を混ぜる 🌉

ここでメロディがメロディらしくなります。

🔹 コードにない音も使えます

C区間だからといってド・ミ・ソだけ使わなければならないわけではありません。レやファを使ってもいい。ただしどこに置くかが重要です。

🔹 強拍と弱拍

1小節を4拍で数えると、1拍目と3拍目が相対的に重く感じられます。これを強拍と呼びます。2拍目と4拍目は相対的に軽く、これを弱拍と言います。

拍をさらに細かく割ると、表が強拍、その間の裏が弱拍になります。難しく考えず「重く感じる場所」と「すり抜ける場所」と理解すれば十分です。

🔹 基本文法

・強拍にはコード音 — 安定感を与える
・弱拍にはコードにない音 — すり抜けながら動きを作る

C区間でド(強)-レ(弱)-ミ(強)と上がってみてください。レはCコードにない音ですが、弱拍ですり抜けるので全然ぎこちなくありません。むしろドからミへ直接飛ぶよりずっと滑らかです。

こうしてコード音の間をつなぎながら通り過ぎる音を経過音、英語ではパッシングノート(passing note)と呼びます。

🔹 逆にするとどうなるか

強拍にコードにない音を置くと緊張感が生まれます。これはミスではなく、ひとつの表現です。切ないバラードやジャズではわざとそうします。

ただ最初は基本文法を体に入れるのが先です。ルールを知って破るのと、知らずに破るのは結果が違います。

💡 まとめると
安定した音を柱として立て、その間を別の音でつなぐ。これがメロディの骨格です。

④ 方法3 — 階段とジャンプを混ぜる 🪜

音の選び方が分かったら、次はその音どうしがどうつながるかが残っています。

🔹 順次進行 — 階段を歩く

すぐ隣の音へ1マスずつ動くことです。ド-レ-ミ-ファのように。やわらかくて歌いやすい。人の声がいちばん楽に動く方式です。

🔹 跳躍 — ジャンプする

遠くへ飛ぶことです。ドからソへ一気に行くように。ドラマチックで印象的です。サビがパッと開ける感じは、たいていこの跳躍から生まれます。

🔹 混ぜる必要があります

階段だけだと退屈です。ずっと歩いているだけですから。逆にジャンプだけだと落ち着かず、歌うのも難しくなります。

比率で言うと階段が多くてジャンプは数回が自然です。ジャンプが貴重なほどインパクトが大きくなりますから。

🔹 最高音は1か所だけ

8小節の中でいちばん高い音が出る場所をひとつだけ決めておいてください。そこがその区間の頂点になります。

高い音をあちこちに撒くと、どこも頂点になりません。逆に1か所だけはっきり高ければ、聴く人の耳はその地点をクライマックスとして認識します。これは編曲を一切しなくても曲に起伏を作る方法です。

だいたい8小節のうち後半、5小節目か6小節目あたりに置くとよく馴染みます。もちろん曲によって違うので、動かしながら聴くのが正確です。

⑤ 方法4 — 2小節を繰り返す 🔄

これが今日いちばん実用的な話かもしれません。

🔹 初心者がもっともよくやるミス

8小節を作るとき、8小節すべてを違うものにしようとすることです。すると2つのことが起きます。作りながら疲れ、完成しても記憶に残りません。

🔹 記憶に残るメロディは繰り返します

好きな曲のサビを思い出してみてください。おそらく短い断片が何度か繰り返されているはずです。人は繰り返しを通してメロディを記憶します。初めて聴く旋律を8小節ずっと追いかけるのは、思っているより大変なことです。

この短い繰り返し単位をモチーフ(motif)と呼びます。曲の種のようなものです。

🔹 実際の手順

1. 2小節のメロディをひとつ作る
2. それをそのままコピーして3・4小節目に貼る
3. 5・6小節目にも貼る
4. 最後の7・8小節目だけ違うものにする

こうすると8小節が完成しますが、実際に作ったのは2小節半です。それでも聴くとずっと完成度が高く聞こえます。

🔹 もう一歩

そのままコピーする代わりに少し変えると、さらに良くなります。

・2回目の繰り返しは最後の音だけ変える
・3回目の繰り返しは全体を1音高くする
・リズムはそのままで音の高さだけ変える

リズムをそのまま維持するのが肝心です。リズムが同じだと人は「同じメロディ」として認識するので、音が変わっても統一感が保たれます。

⑥ 初心者がよくやる3つのミス ⚠️

🔹 ミス1 — 休符がない

空白を残すのが不安で、音をずっと詰めてしまう場合です。でもメロディには息をする場所が必要です。歌は人が歌うもので、人は息をしなければなりませんから。

休符は空いているのではなく、次の音を準備する場所です。2小節ごとに半拍でも空けてみてください。急にメロディが整理されます。

特にモチーフの間に休符を入れると、繰り返しがずっとはっきり聞こえます。

🔹 ミス2 — 音域が広すぎる

ピアノロールではどこでもクリックできるので、とても低い音ととても高い音を全部使ってしまいます。でもそうやって作ると人が歌えません。

目安を挙げると1オクターブ半以内で収めてください。低いドからその上のソくらいまでです。その中で作れば大半の人が歌えて、楽器で演奏しても自然に聞こえます。

🔹 ミス3 — リズムが毎回同じ

音の高さばかり気にしていると、リズムが全部同じになることが多いです。4分音符だけずっと続くような。音がどれだけよく選ばれていても、リズムが単調だと退屈に聞こえます。

長く伸ばす音ひとつ、短くトントンと叩く音を2、3個混ぜてみてください。実はメロディの個性は音の高さよりリズムから多く生まれます。有名な曲のサビをリズムだけ手で叩いても当てられる場合が多いのが、その証拠です。

⑦ Q&A 💬

Q. メロディを先に作ってコードを付けてもいいですか?

A. いいです。実際にそうやって作業する人も多いです。ただ初心者にはコードを先に敷いてメロディを乗せる側がずっと簡単です。選べる音があらかじめ狭まっているので。白紙から始めるより負担が少ない。慣れてから順番を変えてみてください。

Q. 口で歌ったものを打ち込みたいのに音が見つかりません。

A. 口で歌いながらピアノロールの音をひとつずつ押して、合う音を探せばいいです。時間はかかりますが、これがいちばん良い訓練です。この過程を繰り返すと、後には頭の中の音がピアノロールのどの位置なのか感覚がつかめます。ちなみに最近は歌ったオーディオをMIDIに変換してくれる機能もありますが、精度がまだ安定しないので序盤は手で探すことをおすすめします。

Q. コードにない音を強拍に置いたら必ず間違いですか?

A. いいえ。緊張感を作る表現で、実際の曲によく出てきます。ただそれが意図された緊張なのか外れた音なのかは、結局聴いてみないと分かりません。ぎこちなく聞こえるなら半拍後ろにずらして弱拍に移してみてください。それだけで解決する場合が多いです。

Q. メロディがコードより低くてもいいですか?

A. いいです。ただメロディはいちばんよく聞こえるべき線です。和音の間に埋もれるとメロディとして認識されません。だから普通は和音より上に配置します。和音の積み方の記事で扱ったボイシングとつながる話です。和音を下に整理しておくと、メロディが上がる場所ができます。

⑧ 今日やること ✍️

和音を積んでおいた8小節をそのまま開いて始めてください。

1. C区間でド・ミ・ソの中からだけ2小節のメロディを作る
2. その2小節を3〜6小節目にコピーして貼る
3. 7〜8小節目だけ違うものにする
4. コードにない音を弱拍にひとつずつ挟み込んでみる
5. 2小節ごとに半拍ずつ休符を入れる
6. 8小節のうちいちばん高い音を1か所だけ残す

大事なのは4番から6番です。ひとつずつ適用しながら前後を聴き比べてみてください。どの変化がどんな効果を出すのか耳で確かめるのが今日の目標です。

数値もルールも正解ではなく出発点です。最終的な判断は耳がします。

おわりに

今日の内容を一行に圧縮するとこうです。

「コード構成音を柱として立て、その間を通り過ぎる音でつなぎ、2小節を繰り返す。」

こうしてマイクからメロディまで来ました。気になることはコメントで教えてください。

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